Fate/stay night 〜理想の果て〜 ―――『英霊の座』。 そこは歴史や伝承、伝説の中で存在した英雄たちのおわす霊長の頂点。 死後、人々の信仰や想念によって彼らは人という枠から外され、輪廻の輪を抜け出し、世界によって英霊という最高位の人間霊となる。 彼らに時間という概念は存在せず、永遠に彼らはそこに在り続ける。守護者として呼び出される者であっても、その本体は常に座にあり、コピーを送り出しているだけに過ぎないのだ。 ここはヒトがたどり着く到達点の一つの形。 だが、もし―――。 もし、それ以外の到達点があるとすれば、そこには誰がいるのだろうか? そこは何も無い空間。 暗く、深く、ただ在るだけの空間。そこには、何もいないはずだった。なぜならここは何も存在しえ無いことが前提として世界が作り出した"無駄"である。世界の意思によってそうであるとされている以上、その中に存在できるはずがないのだ。 しかし―――、 「……やれやれ、また俺は自分を殺せなかったか」 そこには、有り得ないはずの存在がいた。 ここは、また違う一つの到達点。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 人の枠から外れ、世界からも外されてしまった、たった一人の彼がいるところ。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 世界から外れる、ということはつまり、世界にその存在を否定されて"なかったこと"にされたということ。 『彼』という存在なんていなかった、という扱いを受けた存在。 ―――皆を救うという理想を信じて戦い続けた男がいた。裏切られて、裏切られ続けて、最後には自らの理想にすら見捨てられた、歪な理想を夢見た正義の味方。 ……しかし、彼はそこで諦めなかった。 死に瀕しながらも生き続け、平行世界の存在を知り、そこに渡る術を身につけ、あらゆる世界に干渉して救ってみせるとあがき続けた。 本来なかった歴史に介入していく彼を無視できなくなった世界は、守護者という形で彼を消そうとした。 しかし、彼には一度も敗走はない。 守護者が来るたびに、逃げ、相打ち、ついには退けるほどに彼は強くなっていた。 守護者でもどうにもならないと判断した世界は―――、 彼の存在を"なかったこと"にした。 世界そのものから外された彼は、世界間をさまよう一個の存在になった。 誰も彼を■ミ■シ■■として認識し得ない。 誰も彼のことを知らない。 それは、ある意味での『到達者』。 世界から独立した、たった一人の孤独な存在。 それが彼だった。 「答えを得た……か。そんな■■ヤ■ロ■もいたんだな」 自嘲するように呟く。 英霊となった違う自分。理想に絶望した、別の可能性から端を発する存在たち。 「たまには、介入してみるか。理想を貫き続けた結末として―――」 言って、その空間が元通りの何も無い空間へと戻る。 否、そこには最初から何もいなかったのだ。少なくとも、世界の意思は、何かがいたとは認識していなかった。 彼は再び現世に赴く。 理想を貫き続けた成れの果て。決して諦めることの無かった正義の味方。 エミヤシロウの、始まりの地―――聖杯戦争へと……。 |
| ――― To Be Continued |