Fate/stay night 〜全て遠き理想郷〜













「―――……見ているのですか、アーサー王」


 誰よりも忠実で、誰よりも私のことを考えてくれていた、騎士が言う。


「夢の、続きを……」




 ―――ああ、見ているとも。ベディヴィエール。




 もはや声として届くことはないけれど。私は騎士が王に対して誠実であったのだと、貴方は私に夢の続きを見させてくれているのだと伝えたくて、心の中で、そう返した。


 誰よりも忠誠にあふれた騎士、ベディヴィエールよ。私は、貴方のおかげで、こうして安心して眠ることが出来るのだ。


 そのことを、どうか誇りに思って欲しい。貴方は、王に最後まで仕えた真の騎士なのだから。






(……ああ、空が見える)




 青い青い空。確か今は夕刻で、木々茂る森の中であったはずなのに。だというのに、この目には、遮るものなどない蒼天の空が広がっている。


 それはまるで、彼の町から見上げた冬の空。




(見ていますか、シロウ……)




 この空を。いま私たちが見上げるこの空を。


 どれだけ離れていても、確かに胸に残るものがある。同じ空の下に、生きている。たとえもう二度と逢うことはないと、知っていたとしても。


 そう、きっと大丈夫。私たちは、確かに出会い、愛し、そして別れたのだから。


 ならそこに後悔などあるはずがない。あの黄金の別離は、私たちにとって誇り高く、そしてお互いを想い合っていた証なのだから。




(シロウ……もし、やがて来たる時があるならば……)




 眠たくなってきた。ああ、彼の家の人々のような温かさだ。あの家のような温かさだ。彼自身の温かさを、この身はしっかりと覚えている。どこよりも居心地がいい場所。魂の還る場所と、信じられるような。




(貴方の、そばに……)




 それはきっと、全て遠き理想郷。


 黄金の中で垣間見た、彼の王が最後に辿り着くとされる場所。


 そこにはきっと全てがあり、ゆえに遠く、まるで理想のような郷があるのだろう。


 王は、そこに何を見たのか。それは誰にもわからない。ただ、騎士が最後に見た王の顔は、優しく微笑んでいた。



















〜あとがき〜

 短ッ!
 アニメのFate最終話を見たあとに衝動的に書いた作品です。
 セイバーED…感動しました。
 アニメのFateは思ったよりクオリティも高くて、満足でした。
 ぜひいつか『Unlimited Blade Works』ルートもアニメ化してほしいです。